Mt.Poco blog

登山での体験談やおすすめ情報を紹介します

真夏の4泊5日のテント泊修行とは

4泊5日のテント泊修行を決意

涸沢

これまで夏休みはテント泊で2泊か3泊するのが恒例でした。
しかし、この年は友人とスケジュールが合わず、これまた恒例の沖縄旅行が
できなかったこともあり、北アルプスで遊びまくることにしました。

これまで経験したことがない領域に足を踏み入れてみようかと。
真夏のテント泊5日間(4泊5日)に挑戦。

僕は、自分ほど汗をかく人を見たことがないレベルの汗かきです。
若い頃は今よりもスリムで爽やかさがありましたが、今は違います。
オッサンなのに汗だくです。いろいろ気にしなければなりません。

顔拭きシートと汗拭きシートを4泊耐えられる量を持参しました。
でも背中とか1人じゃ拭けないんですけどね・・・

上高地から槍ヶ岳、そこから大キレット経由で涸沢への贅沢プラン

計画は、以下のとおりです。贅沢です!
<1日目> 上高地~殺生ヒュッテまたは槍ヶ岳山荘のテント場
<2日目> 槍ヶ岳~大キレット北穂高岳奥穂高岳のテント場
<3日目> 奥穂高岳~涸沢(酒を飲んで疲れを癒す)
<4日目> 涸沢でひたすらノンビリ(ヒマすぎたら寝る)
<5日目> 涸沢~上高地

初日は快適なペースで歩いていましたが、汗も大量にかいていたせいなのか
何となく目が霞んでいる気がしたのでムリせずババ平キャンプ場で1日目を
終了することにしました。
この時、既にトラブルが忍び寄ってきていたのです。
「明日は槍ヶ岳をパスして南岳に向かおう」とか考えていました。
目の違和感も寝れば治ると信じていました。

MYテント ババ平にて

視界がもの凄く霞む・・・

2日目も晴れ。暑い日になりそうでした・・・。
ババ平から大曲という分岐点まで80分ほどです。
(この分岐で槍ヶ岳方面と南岳方面に分かれます)
しかし、視界がもの凄く霞んでいるのは昨日と同じでした。
まあ、誰でも分かりますけど、寝たら治るとは限りません!
汗をかけばかくほど酷くなっているように思えました。

途中、目の違和感で休憩していると、男性から声をかけられました。

男性:「大丈夫?目?」

僕:「はい。なんか目が霞むんですよね・・・」

男性:「使ってない目薬あるから使った方がいいよ」

僕:「でも、目薬だし。迷惑かけちゃうから・・・」

男性:「めっちゃ上から差せばOKっしょ」

僕:「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

心優しい男性に目薬を使わせてもらい若干マシになりました。
何滴も狙いを外して貴重な薬をムダにしてしまいました・・・
この目の状態で槍ヶ岳や大キレットは難しいかな・・・

「下山しよう・・・」

残念ですが、自分自身をリスクに晒せない・・・
まして、誰かに迷惑をかけることだけは全力で避けなければならない。
最高の天気の中、勇気ある撤退です!

横尾山荘のベンチで爆睡、すると・・・

ババ平キャンプ場を過ぎ、槍沢ロッジを過ぎ、感覚的にはあっという間に
横尾山荘に到着しました。(9時ころには着いていたと思います)
目は、霞みだけでなく若干痛みも感じるようになっていました。

ベンチにゴロンと横になり、5日間の計画の内、まだ2日目という事実に
明日から何しようと考えていたら・・・
真夏の日差しのもと、顔にタオルもかけないまま、まさかの爆睡・・・
しかも2時間・・・

そこで奇跡が起きたのです!!
日焼けして顔はヒリヒリするけど目の霞が完全に治ってる・・・

僕は考えました。若干、スペック不足の脳を無理やり回して。

「よし、涸沢に行こう!」

時間的にも体力的にも問題ありません。
また途中で視界に違和感がでたら下山すると決めて横尾大橋を渡りました。
そして、これ以降、目の霞に悩まされることはありませんでした。

涸沢に行ったら“おでん”を食べましょう

涸沢には、涸沢ヒュッテと涸沢小屋という2つの施設があります。
涸沢ヒュッテは規模が大きく常に人が大勢います。
ココの名物は“おでん”です。
ただし、早くたどり着かないと品切れになってしまうので注意です。
まあ、品切れになってもレトルトのおでんは販売しています。
因みに、どっちも美味しいです!!

テント泊あるあるですが、飲むなら昼から飲んだ方がいいです。
そして可能な限り早めに体の中の水分を外に出しておくことをおすすめします。
テント泊でのトイレは面倒なので。しかも寒いし・・・。

3泊目と4泊目、日に日に風呂が恋しくなる・・・

3日目は、南稜から北穂高岳奥穂高岳と歩き、ザイテングラートから
涸沢に戻るという周回コースを堪能しました。

雷鳥の雛(D沢のコル~涸沢岳付近)

このコースは、短いですけど僕の感覚的には大キレットと比較しても
レベルは変わらないと思います。
むしろ、大キレットの方が分かりやすいいというか親切です。

4日目は、やることないので涸沢でビール飲んで本読んで寝て・・・
起きてパノラマコース歩いて戻って寝て・・・
超贅沢な1日を過ごしました。

(詳しいレビュー記事もそのうち書こうかな・・・)

3日目あたりから薄々は感じていたのですが・・・
顔が脂ぎっている・・・
体も脂っぽい・・・
ジョニーのあたりも気になる・・・
何より頭がかゆいし、シットリしてるし、髪が抜ける・・・

4日目の夕方と5日目(下山する日)の朝は、念入りに水で顔を洗い、
顔拭きシートと汗拭きシートで念入りにゴシゴシしました!

や、やめてぇ~

5日間の修行生活を無事に終え、奇跡の場所である横尾に戻ってくると、
初めての穂高と思われる35歳くらいのギリギリ山ガールズ3人が、
「オクホはドコ?」「アレ、オクホ?」とか盛り上がっていました。
フレンドリーな3人は、僕に「あの山何ですかー?」と声を掛けられ、
教えてあげると、会話のキャッチボールが始まりました。

僕がテント泊5日目で、今すぐお風呂に入りたい件やバスで僕の体からの
異臭騒ぎが起きたら生きていけない件について。

すると、3人が何やら僕の方に寄って来るのです。
「近く来ると臭いから!」って言ってるのに寄ってくるのです・・・。
すると、鼻がシャツに付くくらいの至近距離でクンカクンカしてるのです。

「や、やめてぇ~」

臭いを嗅がれて、オエとか言われたり、無言でムセるとかマジ勘弁です・・・
そーいうの僕傷つくので・・・

すると笑顔で言われました。

3人組:「ぜんぜん大丈夫~」

僕:「・・・」

なお、この時の会話から友達になり、一緒に山に行ったりしています。
いろんなことが起こるから山は楽しいですよね!

学んだこと

①真夏のテント泊で4泊はキツい(臭いとか僕は気にするので)
②汗かきは目薬を持参しよう
③髪が抜けるから髪の毛を触るのは止めておこう
④撤退の決断は、誰かに迷惑をかける前に、余裕があるうちにしよう
⑤汚い体を包んでくれていたシュラフも多分汚い(シュラフ=寝袋)

では、よい山行を!

富士山に登るなら弾丸はオススメしない。秋は尚更止めておこう!

富士山は遠くから眺める山というけど

遠めから見る富士山

果たしてどんなもんかと・・・。
友人と9月中旬に富士山に登る計画をたてました。
富士山の冬は早いので、営業している山小屋は半分になってしまいます。

でも・・・
富士スバルラインで5合目まで行くと、人・人・人・・・
めっちゃ混んでいます。

僕らはご来光登山ということで、15時ころに5合目に入りました。
5合目で標高2300mあり、そこから一気に1400mも登ることになるので
高山病にならないようにムダにあたりをウロウロしたり仮眠したりして
登山開始の時間と自分の体の順応を調整しました。

ご来光登山は、夜21時ころから登山を開始します。
(コレは弾丸の場合です)
一般的には、前日に8合目まで上がって夜中から山頂を目指します。
でも、僕らは弾丸コースをチョイスしてしまいました。

21時から登りはじめ、6時間半で山頂部分(お鉢)に到達できます。
お鉢巡り(山頂の火口の周りを周回すること)で1時間20分。
下山が3時間半くらいの行程になります。

いざ出陣と行きたいですが車の外は結構寒い

21時、登山開始です。
車の外は既に結構寒いです・・・
いきなり心が折れそうですです。寝起きだし・・・

富士山5合目(吉田口)

それでも、登山者はウジャウジャいます。
みなさん元気です。寒いのに・・・

入山料を支払い、出だしから折れかけてる心に鞭打って歩きます。
5合目から6合目は平らな道を歩くだけです。
6合目から本格的な登りが始まります。

明かりを点けた登山者が1列にゆっくりと登っていきます。
上の方にはライトからの光の線がつながって見えます。
6月目を少しだけ登っただけで既に渋滞が始まっています・・・
ペースが上がらなので体が温まらない・・・

そんなスローペースに7合目くらいで諦めました。
「このペースじゃ山頂でのご来光はムリだ」と・・・
あまりの寒さに持ってきた雨具(ズボン)も身に着けるレベルです。
普通に震えてきます。歩いてるのに。いや、登っているのに。

このあたりだったと思うが、温度計はマイナス2度でした・・・

ご来光(写真の写りが・・・)

8合目でトラブル発生

僕も体の重さを感じてはいましたが、友人が頭痛を発症してしまいました。
近くの小屋で暖をとって休ませてもらうことに。
でも高山病と思われるため、症状を回復させるには高度を落とすしかなく、
友人は下山することになってしまいました。
8合目は3000mを超えていますので高山病になる人はなります。
普段大丈夫な人でも体調によってはかかってしまうので注意が必要です。

ソロ登山となった僕は、下で友人を長時間待たせるのは悪いと思い、
ペースを上げて一生懸命登り始めました!

「一緒に下りないで自分だけ登ったんかーい!」って言われそうですが、
小屋の方が5合目まで用があって下りるとのことで、安全な場所まで
付き合ってくれるとのことだったので甘えました。

小屋の方も初富士山なら登った方が良いと言ってくれましたので。

朝日に染まる富士山の山肌

キングオブクライマー

9合目あたりになると、さすがに5分歩いて15秒止まるみたいになり、
一気にペースダウンしました。
そんな時、下から元気に走ってくるキングオブクライマーが!!

小学校低学年の元気な少年です。
めっちゃ元気です。大人は死にそうな顔して歩いてるのに・・・

少年最強説は間違っていないと思います。
彼らは心が折れない限り人類でも最強レベルかと思われます。

下山道で落石発生

遠くで何かが転がって砂煙をあげているのが見えました。
その下には人が歩いている。
「コレ、やばい系のやつなのでは・・・」

落石に気づいた僕の周囲の人は、みんなで声を出し合いました。

「ラーク!」「気づけー」って何度も何度も。

上の方の違和感に気づいたのか、その場から離れようと走っている。
僕らの方からでは横からなので実際はどの程度ギリだったのか不明ですが、
その場から離れようとしていた一人が足を止めてしまったのです。

「ヤバい」「逃げろ」と声が響き渡っています。

次の瞬間、ここにもキングがいたのです。
足を止めたその人は、落石をドンピシャのジャンプで回避したのです。
もう、僕の周囲からは「す、すげぇ」の声があふれ拍手されていました。
数十分後、僕は何とか山頂に立つことができました。
友人が下で待っているのに剣が峰(富士山最高点)まで行ってやりました。

まったく快適に下れない下山道

まあまあの急坂をジグザグに一気に高度を下げる膝にツラいコースです。
しかも小石が多く、靴が異常に汚れます。ズボンの裾も。
更に小石が靴の中にも入ってきます。
多分、ゆっくり歩けばここまで酷くはなりません。
原因は、僕がかなりのペースで歩いていたからかもしれません。

僕の歩き方が悪かったのか、そもそも道が悪いのか・・・
富士山に挑戦するつもりの方がいたら、是非、検証してほしいです。

学んだこと

①弾丸登山はリスクがあることを認識しましょう
②9月中旬の富士山はメッチャ寒いのでオススメしません
③富士山は、登っていると美しいシルエットが見えないので退屈
 (登山中はずーっと同じような景色の連続なので)
④子供は無敵
⑤富士山は結構な登山渋滞が発生する
 (抜いても抜いても前に人がいるのでペースがあがらない)

富士山が好きで何度も登っておられる方も多いと聞きます。
でも、しかし、私に言わせていただきましょう。

やっぱ遠くの山を登っているときに富士山を見つけ、
「あー、富士山だー!!」ってアホっぽく叫んでいる方が良いです。
あくまで個人の見解ですが・・・

富士山は、なんだかんだで標高差のあるハードな山です。
これから富士山に挑戦予定の方は、是非、心して挑戦してみてください。
なんだかんだで、富士山は日本一の山ですから!

では、良い山行を!

屋久島を歩きまくった結果、爪先に爽やかな風を感じる

世界自然遺産を歩く

毎年、夏には友人と沖縄旅行に行くのが恒例となっていたのですが、
屋久島に行った会社の人の話を聞いているうちに行ってみたいという
感情がメラメラと湧き出してきたのもあって行ってみることに。

ご存じの方も多いと思いますが、屋久島は鹿児島県にある島です。
羽田空港から鹿児島空港、飛行機を乗り換えて屋久島空港へ行きます。
鹿児島港からフェリーでも行けますが、屋久島の滞在時間を優先するため
僕らは飛行機をチョイスしました。

屋久島空港に着くと・・・、
海側を眺めるとド晴天だけど山側を見れば曇り空。
1ヶ月で35日雨が降ると言われる屋久島の気候を感じる瞬間でした。

白谷雲水峡を軽く観光のつもりで歩いてみた

空港からレンタカーを走らせ、白谷雲水峡探索をすることにしました。
翌日の縄文杉ツアー、翌々日の宮之浦岳登山のウォーミングアップ的に。
とにかくデカい杉と深い緑、何よりマイナスイオンを感じます。
小ぶりなかわいい鹿さんもウヨウヨしてます!

ウォーミングアップですが、さすがに靴だけはサンダルから登山靴に変え、
シャツや短パンは飛行機に乗ったままの格好です。
できるだけ汗をかかないようにノンビリ散策していると、すれ違いの方に
「この先の太鼓岩行った方がいいですよ!絶景ですよ!」と言われ、
「結構大変ですか?」と聞いてみるとチョットだけと言っていたので
せっかくなので行ってみることにしました。

太鼓岩までの10~15分の急な登りがあります!
とりあえず汗をかいても良い服装で行きましょう!

感想は、めっちゃ良い景色を堪能できます!

屋久島の苔むす森

屋久杉デカすぎるけど、デカいのに慣れてくる!

これは、屋久島アルアルだと思います。
デカい杉が多すぎて、立派すぎる杉が普通になってしまう現象です。
多分、縄文杉ツアーに参加された方は分かってくださるかと。

縄文杉探索はガイドさん含め7名ほどのツアーで参加しました。
有名なスポットの見落としや解説が欲しかったからです。
これから屋久島に挑戦される方は、縄文杉ツアーはオススメです!

なお、縄文杉へは荒川登山口から約10Km、時間は5時間半です。(片道です)
朝5時にバスに乗って登山口に行き、ガイドさんの説明を聞きながらの
ノンビリ登山です。
本格的な山道は3Kmもないですが、それなりに疲れます。

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縄文杉に会った瞬間、「先輩!!」と叫んで抱きつきたかった・・・。
でも、自然保護のため離れたところから叫ぶしかありませんでした。
因みに、樹齢3000年とかの杉は普通にあってデカいので、縄文杉先輩の
樹齢7000年と言われても「お、おおぅ・・」って感じになります。

縄文杉を見たことがある人に聞いてみてください。
たいていの人は、見た時の感想を「ふ~ん」か「へぇ~」となります。
デカい杉を見すぎてしまっている弊害が出てしまうのです!

でも、縄文杉は一度は見ておくべきだと思います。

九州最高峰って、実は屋久島の宮之浦岳なんです

宮之浦岳

屋久島に来て3日目ですが、まだ雨に降られていません。
僕は、結構な晴れ男なのです。実は。
この日は、宮之浦岳への登山です。
淀川登山口から宮之浦岳の往復コースで行程は10時間コース。

アドレナリンが出まくっているのか疲れを感じません!
テンション高めのままこの日も歩きまくります。

このルートは、花之江河という日本最南端の高層湿原までは比較的ラク
歩いていくことができますが、疲れてくる後半に結構疲れるアップダウンが
ありますのでスタミナの使い過ぎには注意しましょう!

山肌に巨石群が散らばっているあたりで、15分ほど雨に降られました。
遠くで雷鳴が聞こえたので「コッチ来るなよ~」と念じていました。
思いはちゃんと届きました!

そして無事に宮之浦岳の山頂を踏むことができました。

宮之浦岳からの景色

3日間で50Km近く歩くことになりましたが満喫できました。

最後の最後で限界が・・・

下山中、思わぬアクシデントが起こりました。
散々苦楽を共にしてきた相棒が口を開けたのです。
大きな口は、指先に風を感じるほどの・・・

僕の相棒、The NorthFaceの登山靴「LightpackerⅢ」の底がはがれ、
ワニ化してしまったのです・・・。
僕の人生で、初めて自分の靴がワニになった姿を目にしました!

蒸れた右足の指を爽やかな風が優しく吹き抜けていきます。
本来なら下山して登山靴からサンダルに履き替えたときに得るはずの快感を
道半ばで感じてしまうとは・・・

The Northface LightpackerⅢ(廃番)

備えはしておくもの!

こんな状況になっても僕は焦りませんでした。
この状況が初日に起こっていたら涙したことでしょう。
翌日以降の日程がすべてダメになってしまうのですから・・・。

この時、僕はテーピング・予備の靴紐4本を持っていました。
これは自分のためであり、僕が誘った一緒に歩く友人の万が一のための備え
に準備していたものです。
途中で何度かのテーピングの巻き直し等が必要かと覚悟しましたが、
歩き方やペースを落とすなどして無事に下山できました。

学んだこと

①登山靴等の道具類の傷み具合は登山前に確認しましょう
②観光コースでも登山用の服装で挑みましょう
屋久島は“雨”前提の準備をしておきましょう
屋久杉はデカい!!

はじめての屋久島ならココをおさえておきましょう!
(登山メインで観光少しの場合)

①白谷雲水峡
縄文杉のツアー登山
宮之浦岳(ついでに黒味岳も登れます)
④ヤクスギランド
⑤大川の滝
千尋の滝

上記、①~③はマストだと思いますよ!

では、良い山行を!

南アルプスの天然水からの南アルプスの天然水

南アルプスデビュー

北アルプスデビューを相模湖SAで無念の撤退となった日から、僕の心には
メラメラとアルプスへの野望が燃え上がっていました。

「よし、日帰りで南アルプスへ行こう!」

手始めにチョイスした山は、甲斐駒ヶ岳です。
埼玉からだと地図的には近いのですが、諏訪湖を越えて伊那から入ります。
(一般的な北沢峠から入山の場合)
若干の寝坊があり、仙流荘から北沢峠への始発のバスを逃しました・・・
いや、始発どころではなかった気がします。
確か・・・、8時くらいのバスでした・・・

<コース>
  北沢峠⇒仙水峠⇒駒津峰⇒甲斐駒ヶ岳⇒摩利支天⇒駒津峰⇒双児山⇒北沢峠

甲斐駒ヶ岳

魂のハイペース登山

言っておきますが、寝坊を帳消しにするために焦った行動は最悪です。
事故や遭難のリスクを高めますので絶対に止めましょう!

この時の僕は、膝の痛みも克服して有頂天の時期でした。
コースタイム6時間50分の行程に対して、自分に与えられた時間は7時間。
10分のバッファーしかありません。

今の僕なら絶対にこのような登山はしません。

長衛小屋から仙水小屋まで一気に登っていきます。
汗を大量に流しながら小屋の前でサントリーの定番商品を手にしたとき、
小屋にいた方が本物の天然水を飲めとすすめてくれました。

僕:「いや、まだ開けてもいないんですけど・・・」

小屋にいた方:「そんなもん捨てて中身を入れかえていけ!」

僕は、言われるがままに一口も飲んでいない南アルプスの天然水を捨て、
湧き出ている南アルプスの天然水をペットボトルに入れました。

まさかの「南アルプスの天然さからの南アルプスの天然水」です…
そして一口・・・
「う、うまい・・・!!」

小屋の方に言われるがままサントリーの天然水を捨ててしまったため、
肝心の飲み比べができないというミスをしたことを後悔しました。

直登はキツい!

仙水小屋から仙水峠までは快適なペースでした。
コースは、ここから駒津峰へ一気に高度を上げていきます。
そーなんです。ここまで快適なのは当然なんです。
50分かけて歩いて200mしか高度を上げていないんですから・・・

この時の僕は、そんなことを気にもせずにご機嫌状態でした。

でも・・・、ここから折れかかる心との戦いが待っていました。
本当に直登です。一本道の急な上り坂を1時間半・・・
なかなかキツいです。
僕以外に誰の姿も見ていません。
人の姿を見ないと不安になりますよね。
この時、僕は人の姿、人の声を求めていました・・・

駒津峰から甲斐駒ヶ岳

駒津峠には多くの登山者で賑わっていました。
やっと遅れを取り戻せたのかも・・・
「これから山頂ですか?」と尋ねてみると下山途中とのことだった。
でも、山頂へ向けて歩いている人もチラホラといます。
登っている人に尋ねてみると、小屋泊とのことでした。
僕と同じように16時のバスに乗らなきゃならない人には追い付いてない
という現実が分かりました。

途中の分岐では、迷わず破線の直登コースをチョイスしました。
登っていて思ったことは、美しい山だなってこと。
この山は、もっと時間をかけて登るべきだと痛感しました。

朝が弱い自分の性格を恨みました・・・

はじめてのシャリバテ

無事に山頂を踏み、少しだけ休憩をして下山を開始しました。
もうこの時点で1時間前のバスに乗って登山を開始した人には追い付き、
心には大きな余裕ができていました。

下山はラクです。
登りが得意な人と下りが得意な人っていると思うのですが、
僕は明らかに後者タイプです。

ガンガン歩き、どんどん前の人を抜いていきました。
早く下山してバス待ってる間に何しようかなって考えながら・・・

そして、順調な行程中、その時は突然やってきたのです・・・

「ん?」

「あれ?」

明らかに自分の体の反応がおかしいと気づきました。
1歩踏み出した後に次の1歩がなかなか出てこないのです。
「元気ですね」とか、「早いですね」とか言われて抜いていった人に
抜き返されていきました。

終いには「大丈夫ですか?」と心配されてしまう状態でした。
状況はどんどん悪くなっていくばかりです。
1歩を踏み出すことがとてつもなく難しいのです。

帰りのバスの時間と残りの距離が気になりだしました。
場所は双児山を通過したあたりです。

とにかく遅くても止まってはダメだと思い必死で下山を続けました。
頭は冷静なのに体が反応しないというのは本当に怖いです。

ハイペースで稼ぎ出した時間の貯金はすごい勢いで消えていきます。
この時、マジで思いました。

「やばいかもしれない」
「誰かに救助を求めるべきか」

でも焦りからこのように思ってしまうのですが、冷静に考えれば、
最悪、小屋に泊めてもらおうと思えたのが良かったと思います。

とのかく1歩、次の1歩を無心で続けていき、何とかバスの時間の
20分前に下山することができました。
下山後、地べたに座ろうと思った瞬間、体を支えきれずに後ろ向きに
ゴロンと転がる始末でした。

医師の友人に話したら、典型的なシャリバテと脱水とのことでした。

学んだこと

①寝坊したら、登山計画そのものを見直す(強行しない)
②ハイペース前提の登山はしない(①と被りますが・・・)
③前夜・当日の朝食を抜いたりせず、水分補給に気を付ける
④本場の南アルプスの天然水はマジでウマい!

 

では、良い山行を!

仮眠ができない体質なんです

秩父の山から北アルプスデビューへ

フィットネスクラブでのプール修行を経て北アルプスデビューです。
北アルプスと言ったらアルピニストの殿堂“涸沢からの穂高”です。
この日のためにテント泊装備も揃えました!
(品名等は、今後、紹介したいと思います)

気分はMAXです!!
金曜日に仕事を終えて帰宅し、風呂に入ってサッパリして愛車でGOです。
週明けの月曜日を有休にして土日でテント泊からの下山後に温泉&ラーメン。
車中泊からの帰路というスケジュールです。

ルンルンドライブは神奈川まで・・・

僕は、埼玉県の大宮という街に住んでいます。
ハイテンションで首都高速から中央道へと僕も愛車も絶好調です。
時間にして約1時間と少しでしょうか・・・
テンションを維持できたのは・・・

相模湖あたりを通過するころには少し不安になってきていました。
「これ、ちゃんんと目的地に着くのか」と・・・
気持ちの弱りだした理由・・・、それは睡魔という強敵のためです。
チラホラと見え隠れしだしたのです。
仕事を頑張った後の深夜の1人ドライブとなれば敵は攻撃し放題です。

強敵に抗うため、運転しながら絶叫です。
ほんとに絶叫です!のどが痛くなるくらいに絶叫です。
「眠ぃーぞ、チクショー!!」「ザケンナー!!」って。

強敵は退散したかに見えたが・・・

魂の叫びに睡魔という強敵は退散したかに見えた。
いや、その時は間違いなくヤツを撃退した。はずだった・・・

しかし、強敵は僕の心の隙を見逃してはくれない。
再び強敵の攻撃が始まる。第二波、第三波と・・・

ついにこのまま運転を続けるのは危険と判断し、諏訪湖SAで仮眠をとる
という最良の選択をすることにした。
1~2時間仮眠しよう!と・・・

もしかして、やっちゃったかも・・・

スマホのアラームも関係なく、ガバっと突然に目を覚ましました。

「・・・」
「もしかして、やっちまったかもしれない・・・」

空は青く、周囲は笑顔の家族連れの姿が飛び込んでくる・・・
恐る恐る時計を見てみると・・・

9時30分・・・

アラームの前に目が覚めたのではなく、アラームには気づかず、
太陽の光に照らされて暑くて目が覚めただけだったのだ・・・

これから沢渡バスターミナルに行き、バスに乗って上高地に入り・・・
涸沢に何時に着くか・・・
状況の恐ろしさに脳みそが完全にバグっていて計算ができない・・・

「む、無理だ・・・」

山の一般常識的には、目的地には15時台に着いていなければならない。
セーフモードで何とか計算するも「無理」という回答しか出てこない。

「終わった・・・」

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僕にとっての鬼門

僕の北アルプスデビュー戦は、諏訪湖SAで勇気ある撤退で終わりました。
実は、この後も何度か諏訪湖SAでの撤退を余儀なくされたことが・・・

いや・・・、登山って厳しいですね・・・

学んだこと

①金曜日から山に向かうなら午後半休を取れ!

②お腹が空いてても目的地が見える地点までは耐えろ!

③目覚ましのアラームは時間差で複数回分セットしろ!

④仮眠ができず本気の爆睡になってしまう体質だということ

 

では、良い山行を!

登山修行の代償(ガラスの膝)

修行は嘘をつかないが・・・

すっかり登山にハマった僕は、登山修行に明け暮れました。
ストイックに山を歩き続け、コースタイムの80%以下が普通になりました。
もう、誰からも舐められないレベルだ!と自己満足しておりました。
登山以外に特にこれといったトレーニングもせずに。

そんな強硬的な登山は、僕の肉体にダメージを蓄積していたのです。

 

膝の違和感

下山したあと、何となく膝の違和感を感じるようになってきました。
激しい痛みというより、鈍痛というか・・・
でも、数日で回復していたので特に気にしていませんでした。
(“気にしないようにしていた”が正解かもしれません)

登山の度に膝の痛みは大きくなっていきました。
万が一のため、デーピングとサポーターを持参するようになり、
いつしかサポーターを使うのが普通になっていました。

膝痛はキツい

日常生活にも膝痛の影響が・・・

この頃には、常に膝の違和感を抱えるようになっていました。
会社に行くときもカバンにはサポーターを入れていました。

なんのトレーニングもせずに山を登りまくっていたツケです・・・。
運動不足で筋力が落ちていた体に急激な負荷を与え続けた結果です。
猛烈に反省し、膝の痛みがない日はジョギングをするようにしました。

が、逆効果でした・・・
余計に膝が痛くなり、登山に行けなくなってしまったのです。

そこで僕は思ったのです。

 

「そーだ!プールに行こう!」

 

フィットネスクラブに加入

思い立ったら行動あるのみ!
速攻でフィットネスクラブに加入しました。
そのフィットネスクラブの情報も調べずに。

そのフィットネスクラブに加入した理由は以下のとおり。
①友人が加入していたから
②プールがあるから

僕は、小学1年生から5年生まで水泳を習っていため一通り泳げます。
さっそくバタフライに挑戦しましたが・・・
腕が大きく回せません・・・

次はクロール。
僕は左側で呼吸をするのですが、船底(お腹のこと)が丸いため、
とても安定感がでず、左向きで呼吸した反動で右でも呼吸できそうなほど
不安定でした・・・

次は背泳ぎ。
フィットネスクラブのプールでこの泳ぎをしている人はほぼいません。
ラクしているように見えるのと、膝のためにならなそうな気がしました。

最後は得意の平泳ぎ。
子供のころ、最も得意だった泳ぎは、大人になっても健在でした!
膝とダイエットのため、1Kmくらいは泳ぎました!

でも・・・
フィットネスクラブからの帰り道、悲しい結末が・・・

 

「めっちゃ膝が痛い・・・」

 

僕の膝は、水をキックしているだけで悲鳴をあげていました・・・
どんだけガラスの膝なんだと悲しみに暮れたのを覚えています。

 

膝を強くするためにプライドを捨てる

ガラスすぎる膝の持ち主だと知り覚悟を決めました。
僕よりはるかにお年を召した先輩方の中に混じってプールを歩く・・・

お馬さんだって怪我したらプールトレーニングをするんだ!
自分を馬だと思って無心になるんだと自分に言い聞かせました。

以来、フィットネスクラブでは前半の30分をクロールでアップして、
60分以上プールを歩くことを続けました。

大股で歩き、足の指でプールの底をつかむように・・・
大きく1歩踏み出したら体を沈め次の足を出す前に立ち上がる的な・・・

実は、このトレーニングダイエットにも効きます!
そもそもプールで歩くのって浮力があるから膝に優しいのと、
水の抵抗で体幹も鍛えられます。

半年くらい経ったころでしょうか 、膝が痛くなることがなくなりました。

僕と同じように膝痛がある人って結構いるのではないでしょうか。
ウォーキングでは登山のトレーニングにならない・・・
ジョギングでは膝の負担が大きい・・・
フィットネスクラブのマシンは膝痛があるうちはオススメしません

よって、僕的には長く登山を続けるつもりなら、プールで歩くことを
強くオススメします!!

 

以来、膝痛を感じたのは1回だけです。
立山から上高地までテントを持って縦走したときのみです。
「やってしまったかな?」って思いましたが、その後の登山で痛みを感じた
ことはありません。

 

<注意>

あくまで僕の体に合っていたという話で皆さんが同じとは限りません。
フィットネスクラブのスタッフにアドバイスを仰ぐことで効果や効率を
高めるのが良いと思います。

 

では、良い山行を!
レーニング方法を

登山のペース配分

修行登山の成果

登山デビューから真面目に1人で修行登山をしたおかげで体力・技術ともに
「かなり成長したなぁ」と自画自賛していました。

そんな中、デビュー戦で一緒に歩いた同僚と再び山に行くことになりました。
山の選定と下調べは僕に一任されていたため、以前から気になっていた
群馬県谷川岳に決めました。

谷川岳(肩の小屋付近)

思わぬ展開

この日も天候に恵まれ、テンションMAXです。
服や装備も同僚に勝っています!(全身 The NorthFaceですから)
厳しく孤独な修行を経ていますので自身満々です!
駐車場からロープウェイ乗場に向かって歩き出すと同僚が言いました。


同僚:「まさかロープウェイ使うとか言わないですよね?」


僕:「ん?」(そのつもりでしたが何か?)


なんだか自分がとてもヌルいチョイスをしたような感覚になりました。
ロープウェイを使わずに登る場合、西黒尾根を歩くことになります。
でも、ガイドブックに書いてあったんです・・・


“日本三大急登”って・・・


僕は、無意識でこの言葉にビビっていたのかもしれません・・・
弱い心を封印してこの急登に挑戦することになりました・・・

 

日本三大急登に挑む

このコース、出だしから急登です・・・
数分で汗が噴き出してきます・・・

同僚は超ご機嫌です。
そう、彼はかなりの運動神経の持ち主なのです。
いい歳してバック転ができてしまうような・・・

でも、僕もそこそこスポーツをしてきたプライドがあります。
(瞬発力的な能力はありませんでしたが・・・)

激しく呼吸を乱しながらも懸命に傾斜のある樹林帯を登ります。
同僚は僕の10メートル先を歩き、僕を気にしています・・・
修行を積んできたのに・・・
屈辱です。

 

ガラスのプライド、簡単に割れる・・・

ペース配分も何もなく、ただ同僚に置いて行かれまいと必死です。
呼吸はゼーゼー行ってるレベルです。

でも、何とか森林限界となる休憩ポイントに着きました。
速攻で岩にへたり込みました・・・
そこで同僚の言った言葉が、僕の繊細な薄いガラスのようなプライドを
粉々に砕いたのです・・・


同僚:「凄いじゃないですか!ついてこれてるじゃないですか!」


僕:「・・・」(は?なんですと?)


めっちゃ上から目線の悪意のない一言に僕は再び屈辱を受けたのです。

 

もうペースは上がらない

少し長めの休憩を終えると、景色の良い稜線歩きが続きました。
稜線に出ても急登です。
森林限界を超えているから景色が良い分マシなだけです。

樹林帯の急騰をペース配分もなしで突っ込んだツケが出てきました。
激しく乱した呼吸は、もう戻りません。
少し歩くとゼーゼー言う呼吸になってしまいます。
修行のおかげで足の筋力だけは微かに残っていました。

そして苦労して何とか山頂にたどり着くことができました。
4時間のコースタイムに対して、結局5時間近くかかりました・・・
屈辱的です・・・(同僚がピンピンしている姿が・・・)

谷川岳の山頂、苦しかった分、嬉しかったです。
谷川岳は双耳峰(山頂が2つある山)なのでそれぞれの頂の名前があります。
 トマの耳とオキの耳と言います。

帰りは天神尾根からロープウェイで下山しました。
同僚は田尻尾根から歩いて下山したがっていましたが、
「熊が出た」との情報があり渋々ロープウェイで下山しました。
(危うく付き合わされるハメになるところでした・・・)

下山後、同僚は僕に悪意をもって言いました。


同僚:「修行、まだまだ足りないっぽいですね」


僕:「・・・」

 

学んだこと

①誰かと登山するなら事前にコースは共有しておく

②ゼーゼー言うほど呼吸を乱したら回復しない

③登山にはペース配分が重要

④日本三大急登を登ったという事実は自信になる


では、良い山行を!