Mt.Poco blog

登山での体験談やおすすめ情報を紹介します

南アルプスの天然水からの南アルプスの天然水

南アルプスデビュー

北アルプスデビューを相模湖SAで無念の撤退となった日から、僕の心には
メラメラとアルプスへの野望が燃え上がっていました。

「よし、日帰りで南アルプスへ行こう!」

手始めにチョイスした山は、甲斐駒ヶ岳です。
埼玉からだと地図的には近いのですが、諏訪湖を越えて伊那から入ります。
(一般的な北沢峠から入山の場合)
若干の寝坊があり、仙流荘から北沢峠への始発のバスを逃しました・・・
いや、始発どころではなかった気がします。
確か・・・、8時くらいのバスでした・・・

<コース>
  北沢峠⇒仙水峠⇒駒津峰⇒甲斐駒ヶ岳⇒摩利支天⇒駒津峰⇒双児山⇒北沢峠

甲斐駒ヶ岳

魂のハイペース登山

言っておきますが、寝坊を帳消しにするために焦った行動は最悪です。
事故や遭難のリスクを高めますので絶対に止めましょう!

この時の僕は、膝の痛みも克服して有頂天の時期でした。
コースタイム6時間50分の行程に対して、自分に与えられた時間は7時間。
10分のバッファーしかありません。

今の僕なら絶対にこのような登山はしません。

長衛小屋から仙水小屋まで一気に登っていきます。
汗を大量に流しながら小屋の前でサントリーの定番商品を手にしたとき、
小屋にいた方が本物の天然水を飲めとすすめてくれました。

僕:「いや、まだ開けてもいないんですけど・・・」

小屋にいた方:「そんなもん捨てて中身を入れかえていけ!」

僕は、言われるがままに一口も飲んでいない南アルプスの天然水を捨て、
湧き出ている南アルプスの天然水をペットボトルに入れました。

まさかの「南アルプスの天然さからの南アルプスの天然水」です…
そして一口・・・
「う、うまい・・・!!」

小屋の方に言われるがままサントリーの天然水を捨ててしまったため、
肝心の飲み比べができないというミスをしたことを後悔しました。

直登はキツい!

仙水小屋から仙水峠までは快適なペースでした。
コースは、ここから駒津峰へ一気に高度を上げていきます。
そーなんです。ここまで快適なのは当然なんです。
50分かけて歩いて200mしか高度を上げていないんですから・・・

この時の僕は、そんなことを気にもせずにご機嫌状態でした。

でも・・・、ここから折れかかる心との戦いが待っていました。
本当に直登です。一本道の急な上り坂を1時間半・・・
なかなかキツいです。
僕以外に誰の姿も見ていません。
人の姿を見ないと不安になりますよね。
この時、僕は人の姿、人の声を求めていました・・・

駒津峰から甲斐駒ヶ岳

駒津峠には多くの登山者で賑わっていました。
やっと遅れを取り戻せたのかも・・・
「これから山頂ですか?」と尋ねてみると下山途中とのことだった。
でも、山頂へ向けて歩いている人もチラホラといます。
登っている人に尋ねてみると、小屋泊とのことでした。
僕と同じように16時のバスに乗らなきゃならない人には追い付いてない
という現実が分かりました。

途中の分岐では、迷わず破線の直登コースをチョイスしました。
登っていて思ったことは、美しい山だなってこと。
この山は、もっと時間をかけて登るべきだと痛感しました。

朝が弱い自分の性格を恨みました・・・

はじめてのシャリバテ

無事に山頂を踏み、少しだけ休憩をして下山を開始しました。
もうこの時点で1時間前のバスに乗って登山を開始した人には追い付き、
心には大きな余裕ができていました。

下山はラクです。
登りが得意な人と下りが得意な人っていると思うのですが、
僕は明らかに後者タイプです。

ガンガン歩き、どんどん前の人を抜いていきました。
早く下山してバス待ってる間に何しようかなって考えながら・・・

そして、順調な行程中、その時は突然やってきたのです・・・

「ん?」

「あれ?」

明らかに自分の体の反応がおかしいと気づきました。
1歩踏み出した後に次の1歩がなかなか出てこないのです。
「元気ですね」とか、「早いですね」とか言われて抜いていった人に
抜き返されていきました。

終いには「大丈夫ですか?」と心配されてしまう状態でした。
状況はどんどん悪くなっていくばかりです。
1歩を踏み出すことがとてつもなく難しいのです。

帰りのバスの時間と残りの距離が気になりだしました。
場所は双児山を通過したあたりです。

とにかく遅くても止まってはダメだと思い必死で下山を続けました。
頭は冷静なのに体が反応しないというのは本当に怖いです。

ハイペースで稼ぎ出した時間の貯金はすごい勢いで消えていきます。
この時、マジで思いました。

「やばいかもしれない」
「誰かに救助を求めるべきか」

でも焦りからこのように思ってしまうのですが、冷静に考えれば、
最悪、小屋に泊めてもらおうと思えたのが良かったと思います。

とのかく1歩、次の1歩を無心で続けていき、何とかバスの時間の
20分前に下山することができました。
下山後、地べたに座ろうと思った瞬間、体を支えきれずに後ろ向きに
ゴロンと転がる始末でした。

医師の友人に話したら、典型的なシャリバテと脱水とのことでした。

学んだこと

①寝坊したら、登山計画そのものを見直す(強行しない)
②ハイペース前提の登山はしない(①と被りますが・・・)
③前夜・当日の朝食を抜いたりせず、水分補給に気を付ける
④本場の南アルプスの天然水はマジでウマい!

 

では、良い山行を!